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保険適用の矯正治療について 

この度は日暮里の市来歯科医院のホームページ・ブログをご覧頂きありがとうございます。
矯正シリーズの記事第5弾となります。(前回から少し間が空いてしまいましたが・・・)

矯正治療は基本的に保険適応外治療(いわゆる自費治療)での診療になります。
なぜ保険適応外治療になるかというと、歯並びをきれいにすることが審美的改善という意味合いが強いからです。

しかし、中には矯正が保険適用になる場合もあります。

①厚生労働省が定める先天性の疾患による、噛み合わせの異常
②永久歯3本以上が埋伏していることによる、噛み合わせの異常
③顎の形や大きさ、歪みによる、噛み合わせの異常

以上の場合、保険適用になります。


①は先天的な全身疾患の影響により噛み合わせに問題がある場合で、矯正治療は保険適用になります。
どういう疾患があるかというと、代表的なものは唇顎口蓋裂です。
唇顎口蓋裂とは、胎児がお腹の中で成長する際に、何らかの理由により癒合がうまくいかず、唇、顎、口蓋などに裂け目が残ってしまうという先天性の疾患です。
上顎の発育が不十分なため、噛み合わせに問題があり矯正治療が必要になるケースが多いです。
他にもダウン症候群などの疾患も適応となります。
他の疾患などの詳細はこちらを参照ください。
https://www.jos.gr.jp/facility


②は永久歯はあるけど骨の中に埋まっていて、それが自然には生えてこない状態で、噛み合わせに問題がある場合です。
この場合も矯正は保険適用になりますが、歯茎を切って骨の中に埋まっている歯を引っ張り出す開窓牽引術という外科的処置を伴います。


③は、著しい受け口や出っ歯、上下の顎の位置関係のバランスが悪いなど、今の顎の位置のまま歯を並べることが難しい場合です。これを顎変形症と言います。
顎変形症の場合、顎の骨の移動のための手術を伴い、手術とその前後の矯正が保険適用になります。

下顎は、身長が伸びる頃に一緒に成長していきます。そのため、顎の骨を切る手術を伴う顎変形症の治療は、体の成長が終わった後に治療を始めます。

これらの場合、矯正治療が保険適用になりますが、残念ながらどこの歯科医院でも治療できる訳ではありません。
当院では矯正専門の歯科医師が常勤ではないため、保険適応の矯正治療は行うことが出来ません。そのため、そのような場合には専門機関を紹介させて頂きます。

上に挙げた3つのうち、比較的保険適用になる場合が多いのは顎変形症かと思います。
顎変形症について、もう少し詳しくお話しします。

上下の顎の大きさや位置、バランスが悪いために、噛み合わせや発音に悪影響がある状態を顎変形症といいます。
通常、矯正は今の顎の位置のまま歯を動かして噛み合わせを治していきます。
顎変形症の場合顎の骨の位置がよくないため、矯正治療に加えて顎の骨を切って動かす手術を行います。

手術の前の矯正では、骨を動かした後噛み合うように歯を並べていくため、段々噛みにくくなることがあります。
又、骨に対して正しく並べて行くので、手術に近づくにつれ受け口の方はより受け口に、上下の顎の位置のバランスが悪い方はよりバランスが悪く見えることもあります。

顎の骨の手術は全身麻酔下で行われるため、1週間前後入院することになります。手術は、顎の骨を切ってネジで固定するため、骨を切る手術の6ヶ月から1年後頃にネジを取る手術も行います。

顎骨を動かす手術から、その後骨が安定する頃まで矯正治療は一旦お休みになります。
骨が安定した後に、術後の矯正治療を再開します。

以上が顎変形症の治療の流れになります。


顎変形症の治療は必ず手術をします。
全身麻酔をすることもそうですし、手術で顎の骨を切ることでの痺れが残るリスクなど合併症が全くない訳ではありません。

人によっては顎変形症ではあるけれど、手術はせず自費の矯正のみである程度改善できる場合もあります。

歯並びだけではなく顎のバランスが気になる場合、それも含めて一度矯正相談を受けてみてください。

当院では顎変形症治療の鶴木クリニック医科歯科と連携を取っております。

何か気になる事があれば日暮里の市来歯科医院までご相談ください。