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お口の中の手術室。「ラバーダム」を使わない根管治療が成功しにくい理由 

こんにちは。荒川区、日暮里にある市来歯科医院です。 当院のホームページ・ブログをご覧頂きありがとうございます。

突然ですが、皆さんは「ラバーダム」という言葉を聞いたことがありますか? 歯科治療、特に根の治療(根管治療)について調べたことがある方なら、一度は目にしたことがあるかもしれません。
ラバーダムとは、治療する歯だけを露出させ、周りをゴムのシートで覆う器具のことです。見た目は少し仰々しいかもしれませんが、実はこれが、根管治療の成否を分ける**「命綱」**とも言える重要なアイテムなのです。
当院の自費根管治療では、このラバーダム防湿を原則として100%行っています。なぜそこまで徹底するのか? 今日は、ラバーダムの役割と重要性についてお話しします。

■ 根管治療の最大の敵は「唾液」
根管治療とは、細菌に感染してしまった神経や汚れを取り除き、根の中を無菌状態にする治療です。 ここで一番邪魔になる存在、それが「唾液」です。
実は、私たちの唾液の中には、無数の細菌が存在しています。健康な状態では問題ありませんが、治療中の無防備な根の中に唾液が入ることは、「消毒した傷口に泥水をかける」のと同じことなのです。 どんなに強力な薬で消毒しても、治療中に唾液が入り込んでしまっては、細菌感染はなくなりません。これが、治療しても治らない、すぐに再発する大きな原因の一つです。
■ ラバーダムが果たす3つの役割
ラバーダム防湿を行うことで、以下の3つの安全が確保されます。
1. 細菌の侵入を防ぐ(再発防止) ゴム製のマスクでお口と患部を完全に隔離します。唾液が根の中に入り込むのを物理的にシャットアウトするため、クリーンな環境で治療を行うことができます。これは、いわば「お口の中に簡易的な手術室を作る」ようなものです。
2. 薬剤の漏洩を防ぐ(粘膜保護) 根管治療では、細菌を殺すために非常に強力な薬剤(次亜塩素酸ナトリウムなど)を使用します。もしラバーダムなしでこの薬が口の中に漏れると、独特の塩素臭がしたり、粘膜に違和感がでてしまう危険があります。ラバーダムがあれば、強い薬も安全に使用し、徹底的な洗浄が可能になります。
3. 器具の誤飲を防ぐ(医療事故防止) 根の治療では、ファイルと呼ばれる針のような細い器具を使います。万が一、手が滑って器具を落としてしまった場合、ラバーダムがなければ飲み込んでしまうリスクがあります。ラバーダムは、患者様の安全を守るネットの役割も果たします。
■ なぜ日本の歯医者はラバーダムをしないのか?
「そんなに大事なら、なぜ前の歯医者さんではやってくれなかったの?」と疑問に思う方もいるでしょう。 世界的にはラバーダムは根管治療の必須スタンダードですが、日本の保険診療での実施率は非常に低いのが現状です。これは、装着に手間と時間がかかることや、保険診療に点数の設定が無いなどの問題など、様々な背景があります。
しかし、当院では「医学的に正しいこと」を優先します。 「面倒だから」「コストがかかるから」といって安全性を犠牲にすることは、医療機関としてあるべき姿ではないと考えるからです。 そのため、当院の自費根管治療では、ラバーダムの使用を必須としています(※どうしてもゴムアレルギーがある場合などはラテックスフリーの材料や別の方法で対応します)。
■ 快適な治療のために
患者様の中には「ゴムをつけられるのが苦しそう」と心配される方もいますが、慣れてしまうと「水が喉に流れてこないから楽」「薬の味がしないから快適」とおっしゃる方が多いです。もちろん、治療中は鼻呼吸ができますのでご安心ください。

【担当医について】 当院の精密根管治療は、院長、および東京歯科大学病院 歯内療法科(根管治療専門)にて5年間の研鑽を積んだ歯科医師・井瀬が担当いたします。基本に忠実な処置で、安全・確実な治療を行います。
見えない細菌との戦いに勝つための、世界標準のルール。それがラバーダム防湿です。 「本気で歯を治したい」「安全・清潔な環境で治療を受けたい」 そうお考えの方は、ぜひ市来歯科医院までご相談下さい。